コードギアス 反逆のルルーシュ R2 TURN6 「太平洋 奇襲 作戦」

コードギアス 反逆のルルーシュ R2 volume01 [DVD]

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毎回怒濤の展開で楽しい楽しい。(mixiにアップしたテキストを改稿したものです)

今回の見所
これまでの渇望をたっぷりと満たしてくれる素晴らしいロイド伯爵分の補給(どうやら私は放蕩貴族という属性が相当好きらしい)
とうとう愛を叫んで、ついでにふられたシスコンルル山の叫び。
オレンジという単語の魔力。
史上有数に濃い弟キャラだった皇帝陛下。
いろんな意味でかっこよすぎな紅蓮の空中換装とナイス空戦作画
瞬間最大風速的に素晴らしかった、艦隊指揮艦の小物っぷり(傲慢、油断、保身、自滅、頓死の小物フルコンボを決めてくれました)


ただ、やはりストーリーの本質は、ナナリーによる行政特区日本の設立の意思表明と、それによって闘う意味自体をなくすルルーシュでしょう。そして次回が「棄てられた 仮面」

これは、まず実は完全にナナリーを精神的な支配下におき依存していた(庇護という形で)ルルーシュの自立の伏線とも言えるし、物語として主人公の挫折と復活のプロットと読めるわけですが。



別の見方をすると、これまでルルーシュの行動原理の根本的な転換とそれによる作品ないでの位置の変化というものがあるように見えます。

作中でルルーシュの行動原理として「ナナリーの幸福」が置かれていたわけです。そしてそれは、わりと超越的な位置に置かれてきたものでした。この原理を把握共有しているのはルルーシュ本人と(これに関しては消極的共犯者にとどまる)C.C.のみです。そしてルルーシュはこの原理に乗っ取り、一人だけおのれのみの独自の論理で動き、他の原理を操縦する行動原理の面で超越的特権的な位置に立つことが可能だったように思います。「ナナリーの幸福」の立場から、「黒の騎士団の日本開放」を操り、「ブリタニアの正義」と戦い。「スザクの正しい手続きの変革」と対立した。彼らの原理と行動を結局は「ナナリー」という高所からメタ的に把握し操作していたと言えるのでしょう。

しかし今回ナナリー自身がそれまでの受動的な立場を棄て、その幸福を自ら実現する立場となったこと。すなわち作品中でナナリーが行動主体となることで、「ナナリーの幸福」のためというルルーシュ本人の行動原理は失効してしまいます。それはすでにナナリー本人(とスザク)に行動主体が移ってしまっているからです。

この6話でのルルーシュのあの姿はその超越的な位置を失い。ブリタニアの正義や黒の騎士団の大義、さらにはスザクの目標といった他の価値と同レベルの場所に落ちてしまったということではないでしょうか。
これは、これまで、価値の面で特権的超越的な立場にあったル)が他の登場人物と全く同じ位置に降りることを意味すると思います。

余談ながら我々が圧倒的にルルーシュに感情移入しやすかったのは、彼がこの超越性を持って、番組世界をメタ的に把握する。視聴者の立場近いところに存在しえたからと思います。


そのルルーシュの姿の象徴こそが、「仮面の破棄」=顔を隠した、名を持たないゼロとして、ある種の超越を勝ち得ていたそれを捨てることではないでしょうか。

さて、そのように作品の構造的にも敗北したルルーシュが、どう物語のゲームに復帰するのか、そのあたりの物語構築の論理こそがこれからの放送の楽しみどころではないでしょうか。果たして再び超越的な立場に何らかの方法で返り咲くのか(そのような原理は今のところ見あたらないけれども、あの「神を殺す」という謎のキーワードは気になります)
それとも全く別の原理を選びなおすのか。これからが実に楽しみです。