タックスヘイブン

タックスヘイブン―グローバル経済を動かす闇のシステム

タックスヘイブン―グローバル経済を動かす闇のシステム

  • 作者: クリスチアンシャヴァニュー,ロナンパラン,Christian Chavagneux,Ronen Palan,杉村昌昭
  • 出版社/メーカー: 作品社
  • 発売日: 2007/05/01
  • メディア: 単行本
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タックスヘイブン。小説、マンガ、映画のなかで言及されることはあっても、今ひとつその実態がつかめない。なんとなく意味は知っていても実際はどんなものなのかととなるとよくわからない。
そんな私のような人間にとっては、格好の入門書といえるでしょう。会社の登記が義務づけられた、19世紀のアメリカにおける誕生から現代の隆盛まで、歴史、仕組みをわかりやすく概観することができます。

一読して思うことは、この要するに脱税システムが、グローバル経済の必要不可欠な構成要素になっていると言うこと、それなしでは現代のような国際的な資本の流動性は達成されないという何とも皮肉と言える現状ですね。

また、一般的にタックスヘイブンと聞いてイメージされるのは、南海の孤島やヨーロッパの小国といった地域ですが、本書によるとじつは世界一のタックスヘイブンは「ロンドン」であるという事実も、その歴史や仕組みを知るとかなり興味深いものがあります。(詳細は本書を読んでご確認を)


原著の発行も2005年と新しく、現代の世界の形の一つについて知りたい人にはもちろん、SF、FT等におけるリアリティのある社会設定構築(特に近未来SFなんかでは日必須かと)のための資料としても有用ではないかと思いました。