宇宙舟歌

宇宙舟歌 (未来の文学)

宇宙舟歌 (未来の文学)

R・A・ラファティの初期長編で、イリアスをモチーフにしたというか、宇宙でそのままやってしまったというような基本的な情報は本質的にたいして重要じゃないです。
本質はただの法螺話の連続に身を任せる楽しさ。
とことん出鱈目に無茶苦茶な展開、駄洒落が連発される星で食用羊のごとく監禁されたり、朝になれば全員がよみがえる星で巨人達と戦争したり、宇宙の全てを賭けてギャンブルに興じたり、魔法にしか見えない科学を使う魔女と主観的になる対決をしたり、とひたすらに笑える展開に身を任せて、ひたすら笑っていれば、終わりが始まりになり始まりが終わりになっていく物語を「そういうものなんだ」と受け入れていける。それでいいような気がするし、それが神話的ということなのかもしれないと思わされます。